Yちゃんの夏休み

60歳前のYちゃんは島根県西部の山間の町の出身だ。お盆休みが待ち遠しく、私たちにあと何日したらお盆に帰るのだと話してくれる。

「どうやって帰るの?」妻が聞くと

「車で迎えに来てくれる!」と喜びいっぱいの顔で答えた。

「誰が迎えに来てくれるの?」

「甥と家族と一緒に車に乗って帰るんだ」歯が抜けた顔面は喜びを隠せない。

彼は何か仕事を頼むと「あいよ!」と大きな声で快く引き受けてくれる。

今ブドウの収穫で午前中いっぱい働いているが、午後14時までに出荷しなければならない、間に合わないときがある。

でも「少し食事を遅らしてね!」と云うと、いつものように「あいよ!」と快く引き受けてくれる。

ブドウを入れるコンテナがいっぱいになるころを気にしていて、頼みもしないのに次のコンテナを持ってきてくれる気遣いができる。

本当にありがたく、障害者でもこんな気遣いができるんだと感心してしまう。

もう一人のKちゃんが病院の検診で休んだので、今日は彼一人しか来ないから私と二人で13時まで頑張った。

次の作業場所まで移動する途中でコンビニへ寄って、彼の好物のアイスクリームを買った。

私は病気の治療があるので食べられないが、もちろんバックミラーには彼の満面の笑顔が見えた。